愛とパン

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  心配でたまらなかった男は仕事を早く切り上げ、走って帰宅した   眠っているのか、彼女は目を閉じていた   男はそっと触れる           冷たい……     口の中には、乾いたパンがあった 衰弱しきり飲み込む力すら無かったのだろう。彼女はパンを喉に詰まらせて亡くなったのだ   ちっぽけにも、かつて彼が作り上げた、10円の価値のパンに     殺されたのだ……―――  
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