『        』

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  雲に隠れていた満月が顔を出し、街を銀色に照らす。 その月光の下。捨てられた瓦礫の上。     1人の少女がたたずんでいた。     長く伸びた髪は白銀に輝き、月光を反射する。 白銀の前髪からのぞく、透き通る瞳は菫の色を宿している。     あまりの美しさに、私は声も出ずその場に立ち尽くす。     ―  リンッ …     「……っ」     響いた鈴の音が、私の思考回路を復活させた。 復活すると共に、私の足が石を転がし、音をたてる。     ― …カランッ  
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