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「…猫にばかにされたか…」
いや、
「たしかに…ばかだろうな」
在りもしない影を追っているのだから。
しかし…なぜ、いつも同じ場所で終わってしまうんだ。
「せめて、一度くらい最後まで聞かせてくれないのか」
ひとつ、小さくため息をつく。
そろそろ時間かと、懐中時計をとりだし、目を走らせる。
穏やかなこの時間は短く、わりと早く過ぎてしまうものだ。
「……またな」
頭をなでてやる。
また、涼しい音が響いた。
― リンッ …
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