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ふと顔を上げる。街に変わった様子はない。
ただ、夜の静かな街が一層、音がなくなったように思えた。
「……なんだか、妙な気分だな」
まるで、どこか別世界へつれてこられたようだ。
「……………そんなワケないか」
本の読みすぎ……いや、疲れているんだろう。
「…はぁ、ホント早く帰るか」
誰も待つことのない、ただ広いだけの家へ。
両親は旅行好きのため、家にほとんどいない。そんな2人は、自由に生きていいとは言っているが、なるべく早く結婚してほしいようだ。
「男の独り暮らしもなかなか良いモノなんだがなぁ…」
ポツリと呟いたところで、何かが変わるわけじゃない。
自分に苦笑して、我が家へと歩を進めようとした。
その時…
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