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ここは、とある田舎の農村。
晴れたある日、その緑の子は田んぼの真ん中に立っていた。
その子は田んぼの緑と同化して良三もなかなか気付かなかった。
「ここで何しとる?」
良三の問いかけにも答えず、ただ良三を見つめる緑の子。
その愛くるしい表情は、良三に幼くして亡くした我が子を思い出させた。
良三は緑の子を家に連れて帰った。
だが、いろんな食べものを出してやっても、ほとんど手をつけない。
彼が食したのは青汁だけだった。青汁だけは目の前に出すと一気に飲み干した。
彼は電化製品に興味があった。
映りが悪かったテレビを直し、電子レンジの性能を3倍にして、一つのリモコンで家中の電化製品が一度に動き出すようにした。
「もっと…たくさんの…キカイがほしい…」
良三は緑の子の為、村中を回りいらない電化製品を貰ってきた。
家の倉庫は電化製品でいっぱいになった。
「しばらく…ソウコに…いる…。だれも…はいらないで…」
緑の子は倉庫に閉じこもった。
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