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体育館に全員が集まったのを見計らって、手を大きく振りながら舞台に立ったのは、生徒会長の神田聖(かんだきよし)だった。
相変わらずオリジナル色の赤髪が目立ち、1年生の表情を見て嬉しそうに笑っている。
何だかイタズラに引っ掛かったような気分でいやな感じだ。
「よっ!待たせたな」
1年生を端っこから端っこまで見渡してからニンマリといたずらっ子のような笑顔を振りまく。
――何か企んでいる。
この笑顔を見る時は必ずと言っていいほど、聖の思いつきに付き合わされる。
入学式の時の「先生誰かいな?」クイズとか、親睦運動会の時の「動いた奴には死を」がテーマのだるまさんがころんだ大会がいい例だ。
皆、1、2学期を通して『聖は奇抜な思考の持ち主だ』と言うことだけは理解できたらしい。
だが、何を思いついたかまでは私を含めて皆、まだ予想は出来ない。
先程より、より大きな不安がフツフツと沸き上がる。
すごくいやな予感。
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