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―カランカラン
ドアベルの音が、狭い店内に鳴り響く。
入ってきたのは長身の一人の男性。ジーパンにカットソー。上に着ていたダウンジャケットを椅子に掛ける。だが、キャップは被ったまま。服装だけ見れば、まぁどこにでもいそうな男性である。
あぁ、またあの客だ。
私はカウンター内で、ひそかに俯き加減に溜息をついた。
ここは兄貴の経営するバー。私はここで火・木・金・土な週四日、バイトとして働いている。
時給1000円。相場としては安い方だが、我が儘は言えない。兄貴に養ってもらっている身分の私には。
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