黒い光

5/28
前へ
/51ページ
次へ
閉店時間になり 店の照明が落ちる。 真っ暗な店内に 一ヶ所だけ 光があたる。 その光の中 ラストソングを歌う人がいる。 その店では その日に一番売り上げが 高いホストが ラストソングを 歌う事になっていた。 その日はNo.2の浩介だった。 俺は初めて見る光景に (いつか俺も…) と思っていた。 するとアキラさんが 「直人も頑張って 毎日ラストソングを 歌えるように ならなきゃね」 そう言って携帯の番号を 書いた紙を そっと渡してきた。 俺は、その番号に ワンコールして アキラさんに 「俺の番号です。」 と言い、 ホストとして 初めての番号交換をした。 ラストソングが終わり 照明が明るくなる 全テーブルにチェックの 紙が回る。 アキラさんは その日4万ほど 払って行った。 当時は、まだドンペリが 2万5千円の時代だったし セットも時間制じゃなく オールタイムだった。 昔は安かったなぁ… 次々にホストが見送りに 店を出ていく。 俺もアキラさんを ビルの下まで 送って行った。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1217人が本棚に入れています
本棚に追加