白い夜

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夜の10時を過ぎて だんだん緊張してきた。 いつもより長く シャワーを浴びて 自分なりに 髪をセットした。 11時過ぎに スーツを身に纏い つけなれない香水をふり 自分が思い描くホストになる。 家を出て店がある 繁華街にタクシーで向かった。 昼間見た景色とは 全く違いネオンが輝いていた。 客を見送るホステス、 サラリーマンに声をかけるキャッチ、 酔っぱらい、 街は人で溢れていた。 店があるビルの前で タクシーを降り エレベーターのボタンを押した。 胸が高鳴る。 不安と緊張でいっぱいだった。 4階に、その店はあった。 エレベーターを降り 店の前に行くと 10枚の写真が 貼ってあった。 No.1からNo.10までの 顔写真だ。 その中で一番大きな写真。 秀さんが載っていた。 扉の前に立ち 開けようとすると 「お!来たか! おはよう!」 秀さんだった。 「名前考えてきた?」 「はい。」 美咲直人と書いた紙を 差し出し、 「これで、お願いします。」と言うと 「美咲直人か… いいじゃん 美しく咲けよ!直人!」 と言ってきた。 (寒いなぁコイツ💧) (本当にNo.1か!?) 心の中で思った。 「お前、今寒いと思っただろ?」 と言われて、正直ドキッとしたが 秀さんは笑顔だったので 「秀さん、もしかして エスパーっすか?」 って言った。 秀さんは笑いながら 「思ってたのかよ!」 と、三村バリにツッこんできた。 優しくて感じのいい人だ。
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