第1弦月

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 波飛沫が上がりまるで生きている様に不定期に動く。        ザザァ――        ザザァ――        耳をすますと波音が心地良くBGMみたいに流れ続ける。        暗闇過ぎて何処までが海と空か分からないが、見上げると真ん丸満月が浮かんでいて、海面にも写し出される様は何とも神秘的だった。        ♪♪♪       ♪♪♪        俺の携帯が激しく鳴り響く。       『轟(トドロキ)君何処にいるの??』        ザワザワと耳元で騒がしい音と共に叶(カナウ)の声がした。       『…………海』   『何でまた……、とにかくこっちに戻って来て』       電話を切り叶(カナウ)が指定した場所に向かった。
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