第1弦月

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 その時は突然だった。       雑木林に月影が落ち淡い光りを注ぐ。  まるで物語りのワンシ―ンの様な景色だった。         その幻想的な世界は、疲れている心と体を癒してくれる。  フッと気配を感じ辺りを見回すと、俺と同じ様に月を見つめる者がいた。        こんな夜中に怪しい奴だな。        煙草を吹かしながら光りが照らすその者の方へ歩み寄る。        !!!!        三日月が照らすその者の姿に、俺は驚き立ち止まる。        まさか…………。        奴だ!!        俺の気配に気付き男は振り向く。       『……こんばんわ、俺以外にも月を眺める人がいたんですね。今日は何だかとても悲しい月ですね』   『…………』        その言葉に返事も出来ないでいた。
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