苦肉の策

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すると俺の隣に座ってた客が 「うっ…ぐっ…」と奇声をあげた。 俺は恐る恐る隣を見ると、何とその客はマッサージをされていた。 しかもかなり本格的なマッサージだ。     まさか俺もマッサージされるんじゃないだろうな…     そんな事を考えていると、おばさんが 「少し濡らしますね~」と霧吹きみたいなモノで俺の頭を濡らしながら言った。 しかしその量がハンパじゃない。 ずっと“シュッシュッ”と頭を濡らし続け、明らかに『少し』ではなかった。   他の男の人がどうかは知らないが、俺は髭を剃られる時に目を瞑る。 おばさんは俺の顔に泡を塗り 「熱いっ!熱い!」と言いながら熱々のタオルを俺の顔に被せた。     マジで熱いじゃないか! 自分が熱いって言ってるタオルをよく客の顔を被せられるな!? テレビカメラがあったら芸人並のリアクションが出来るぐらい熱いよ。 いつものように目を瞑って髭を剃り終えるのを待ち、“ジョリ”と髭を剃る音だけが耳に伝わる。 その音は徐々に耳に近付いてきて、最終的には耳の側で髭を剃る音が。     変だな。 こんなに耳の近くに髭はないんだが… まさか!!      
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