プロローグ

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 僕は城を見上げた。  大分荒廃が進んでおり、元は白かっただろう壁も、黒っぽい灰色と化し、今では蔦を纏う有り様だ。  でもまぁ城は城。僕ん家よか立派だし、即崩れそうにはとても見えない………外から見た分には。  さて何故に僕がこんな城の前にぼけーと立ち、ぼけーと見上げているかというと………この城に来たかったからだ。うん。まんまだね。  でもこんな城に来るやつの相場なんて、宝目当ての盗賊とか、寝る場所もない浮浪者とかいうとにかく金の無い負け組……は酷いか……悪人風な人々?まぁ良いか。  それか姫を助ける伝説の勇者様とか、竜殺しの騎士様とかいう人生の勝ちまくり組の方々だろう。  ちなみに僕は身なりは確かに貧相だが、悪人でも負け組でもない。もちろん勇者でもない。  ただこの城にいる“もの”に興味があるだけだ。  この城にいる“もの”とは何か。  お姫様はいないはず。宝も、多分ないな。  じゃあ何がいるのか………  ドラゴンだ。
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