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第参部
警部は、太った体で、立ったまま尋問を、続けているので、しきりと、腰のあたりを、さすっている。
部下の刑事は、二本目のボールペンを取り出して、しきりとナメている。
J田一耕助は、ガラスの破片をスカシて見たり、人形に、細工が、有るのではないかと、人形の髪を引張ったり、衣装をテンケンしたり、急に立ち上がると、窓のカギを調べるなど、ホールの中を、オチツキなく歩きまわり相変わらず、ニコニコとしていた。
「ところで、その鍾乳洞ですが、内部は、一本道で、浅いと良いのですがナー」
警部は、シンパイソーにきいた。
「ハイ、ソレがですわねー、大変に複雑で、とても深いのだソーですのよ。」
「やはり、コウモリや、白いヘビなどが、住んでいるんでしょうかなー」
「先週ですけれども、いとこの清助チャンを鍾乳洞に、つれて行ったのですわ、見物をするコースを一回りして、出てまいりましたが何にも御座居ませんでしたわ、ただ電気がついておりません横穴は、沢山御座居ましたわねー」
「ウーン、犯人が、そのような横穴に、逃げ込んだら大変だナー」
「こうもりや、白いヘビがいたと言う話は、ききませんが、なんでも奥の方に、鎧兜が有るとききましたわねー」
「よしわかった、犯人は鎧兜の中だ」警部は、トクイソーに言った。
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