第参部

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「ハイ、その鎧兜で御座居ますけれどもねー、なんでも昔の人が、先に入っているソーで御座居ますのよ」警部は、又も、ガッカリする。 「こーナッたらしかたがない、その横穴を、テッテイ的に調べるより、ありませんナー」 警部は、ムキになって言う。「そうそう、清助チャンと、鍾乳洞にまいりました時ですわ、入り口の所で、私どもの第四自治会の、十津川さん、浅見さん、二階堂さんなど、大勢の方が、お集まりでしたの、皆さん、鍾乳洞探検隊などと、名前を付けまして、これから、洞窟に入る所でしたのよー」「ホー、私も、冒険や探索などは、大好きでしてなー、そーゆう会に、入りたいものですナー」「ハイ、それが探検よりもですわねー、後で黒猫亭で一杯やって、大さわぎをするのが、目的のようですのよ、あきれますわねー」 「ともかく、鍾乳洞の中を、くわしく知りたいですナー、たずねるとしたら、どなたが、一番明るいでしょうなー」「ハイ、ソーで御座居ますわねー、ソウイウ、キビダンゴを製造しております、元祖堂の横溝さん、ハリキッタお方で、頭に二つも、懐中電灯を付けて、おられましたのよー、元祖堂さんが、一番明るいと、思いますわねー」 その時、ホールを調査しながら、玉世さんと、警部との話を聞いていた、J田一耕助が、いきなり、バリバリガリガリとめったやたらに、もじゃもじゃの、すずめの巣のような髪の毛をかきむしり、警部の耳もとで、二言、三言、何かささやいた、警部は、「ウム」とうなずいて、部下の刑事に目くばせすると、太った体に似合わぬ、ビンショーさで、玄関を飛び出していった。
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