第参部

3/3
前へ
/12ページ
次へ
あとに残った、J田一耕助は、ロビーに続く応接間に通されて、玉世さん、みずからが入れてくれたコーヒーを、人なつっこい笑顔で、満足そーにのんで、出されたケーキを、きれいにタイラゲて、テーブルの上に出されてあった、クリスタルの皿に盛られた、ボンボンキャンデーをつまんでいると、磯の川警部が太った体をゆすり、ハンカチで、しきりと首筋の汗をふきながら、部下の刑事と共に、ニコニコ顔で帰ってきた。「ヤーJ田一さん、J田一さんの言った通りの所で、犯人を見つけまして、もちろん、その場で逮捕と言う事に、成りましたですナー」警部が、満足そうに言うと、J田一耕助は「殺人事件でないと、気が楽ですね」と言い、警部、J神田一、部下の刑事、の三人は「アハハハハ」と笑った。 と、その時、二階から、陰うつなフルートの音が、きこえてきた、三人は壮絶な顔をして、カタマッタ。 「あら、清助チャンが遊びに来たのですわ、鼓笛隊に入って、フルートを吹いて居りますのですわー、まあー、生意気な曲を吹いたりして、そうそう、皆様には、とんだサービスでしたわねー」 今度は、玉世さんが、玉をころがした様に、コロコロと笑った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加