千代子の章【雪】

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ちらちらと止まることを知らないように、雪は容赦なく降り、女の子の肩に降り積もっていきます。 女の子は段々と何もかもがよくなってきました。 そして、この場所に来たことを後悔しました。 女の子は座り込んだまま、この場所に来る前にいたところのことを思い出します。 ……その場所は暖かく、女の子はいつも明るい友達達に囲まれて楽しく過ごしていました。 ――ああ、どうしてこんなところにきてしまったんだろう。 あのとき、船になど潜り込まねば今もあの場所で仲間と一緒にいられただろうに。 女の子は思います。 そのあいだにも、雪はちらちらと女の子に降り積もり、女の子の体温を奪っていきます。 ――もう、駄目かな……。 女の子がそう思い、目を閉じようとしたときでした。
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