あるダレた昼下がり

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気の抜けた顔、眠そうな目、態勢は少し前屈しながら、やる気なく足を前へと動かしていた。 田中は小学生以来ずーっと腐れ縁の悪友だ。気が合うのか留年まで一緒で、2度目の3年生をしている。 平均的な身長の僕より少し背が高いくらいで、別にイケメンだとか意識したことは無いが、ムカつく程に女ウケがいい。 いや、女の扱いが巧い。 田中いわく「容姿はただの撒き餌でしかない。タイミングと勇気、それさえ合えば一夜限りの相手なら、ほほいのほい」だそうだ。 不思議な事に、田中に『ほほいのほい』された女どもに田中の事を悪く言うやつはいない。むしろ、またいつかの一夜を過ごしに舞い戻ってくる。 俺とは何が違うのであろうか? 何かの雑誌にH後にされてドン引きするランキングがあって、1位の『すぐに寝る』と3位の『すぐにシャワーを浴びる』は改善させたが、たいして効果がでた気はしない。 一度田中に一夜を過ごしてもらえば……駄目だ、暑さで頭がよろしく無いようだ。 気分転換にちょいと話かけてみたりしてみた。
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