あるダレた昼下がり

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「田中、お前かなり眠そうな顔してんな?またドコぞのナントカちゃんと楽しんで来た帰りとかかな?」 なかなかオッサン臭いセリフを言ってしまった気がして、少し自分に引いた。 「バカ言え琉太郎、俺の家はお前の所と違って貧乏なんだよ。学費は親に出してもらってるけど、それも今年までの予定だ。生活費に来年分の学費をしっかりバイトしなきゃキリギリスになるぞ?俺は昆虫は苦手なんだよ」 もう暑くて『アリも昆虫だろ』と突っ込むのをやめた。いや、アリは昆虫だったっけ?くそ、頭が回らん。 「今日で何日目だっけ?」 田中は永遠を見つめる様な目で呟いた。独り言の可能性もあったが返事をした。 「8日目だよ、最初が土曜のナンパ中で今日が2度目の土曜だからね」 「はぁ?お前暑さで頭ヤラれてんじゃねーのか?1週間は7日だぜ?2度目の土曜なら7日目になるだろうがよ?」 口が悪い、イライラする。いつもの僕なら書いてでも説明するが、今の僕は違うぞ。 「じゃ7日目でいいや」 適当に流すってのは好きでは無いが、もういいや。 「そんなのはどうでもいいけど、もう吉田は先輩のトコ?」 田中はまた独り言様に呟いた。 「いや、さっき吉田からメール来たけど山内先輩の家の前で待ってるって」 吉田は結構な小心者で、今回のダルい行事にも偶然歩いていたから参加させられている。 「吉田もアレだよな、家の前で待ってないで先に入って待っときゃいいのに。ま、あの先輩とマンツーマンの吉田も見物だけどな」 眠そうな顔から白い歯が光る。少しだけ凛々しい表情になった田中は首を軽く鳴らし気合いを入れた。
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