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微笑みを浮かべ、俗に言うお姉さん座りの吉田。
男に対しては基本態度の大きい田中は小さくあぐらをかき、僕は何故だか正座位をとった。
いつもと同じ態勢、同じ雰囲気。
「よしっ誰からでもいいぞ、さっそく始めよう」
山内先輩は凄い気合いの入り様だ。少し古びた机の上に紙を置き、いつでもメモを取れる臨戦態勢だ。
昔、メモの取り方で性行為に至る時の準備がわかる心理テストが流行ったことがある。僕の診断結果は別にいいとして、先輩のタイプは確か性行為に対し入念に準備をし虎視眈々とチャンスを狙う人だったはずだ。
そろそろここらで今までの経緯を説明しなくてはチャンスがなくなりそうなので少し失礼する。
今目の前にいるのが言わずと知れた山内先輩である。高校卒業後に一度社会人となり出戻って、僕等と同じ大学に入学している。かなり人生的先輩なわけだ。
普段は優しく頼れる兄貴みたいな感じなのだが、その反面熱中したら我を忘れて突き進む人なのである。
昔、バタフライナイフを使い恐喝をし、巻き上げた金品のみで九州から大阪まで旅をした高校生がニュースで取り上げられていたのを見て「俺ならこの拳だけでもっと行けるぜ」と粋がられ、盗んだバイクで走りだし隣町で補導された話を聞いた時あたりから頭の良ろしくない人とは存じていたが、文化祭の時も試験の時も火が点いたら止まらない人なのである。
そんな先輩に今回火を付けたのは『携帯サイトのクリエイター機能による小説』だそうだ。好きなだけ熱中したらよいのだが…文中にも出てきたが、あれは先週の土曜日のナンパ中だった。
「おぅお前達、いい所にいたな。俺が今小説を執筆してるのは知ってるよな?実は次のテーマはホラーなんだ。しかし中々こう熱いものが湧いて来なくてな…そこでお前達がホラーにまつわる話を俺にして刺激を与えてくれ。そいで毎日俺の家に来てくれ。時間は昼過ぎだと都合がいいな。ってな訳で今から俺の家にいくぞ」
もうメチャクチャである。
そして移動中に偶然吉田に出会い強制参加させられた次第である。
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