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「今日は僕が1番手を貰います」
小さく手をかわいらしく上げたのは吉田であった。
こんな感じで先輩に刺激を与える儀式が永遠と繰り返されている。
2日目に『トイレの貞子さん』か『口裂け貞子』で決まりそうであったが、
「駄目だ…パッションが足らない。俺はもっと、本物のホラーを読者に伝えなくてはならないのだ」
と、ふりだしに戻ってしまったのだ。
僕的にはどんな話になるか興味があるのだが。
「えとぉ、日本の百夜物語に因んだ雑学なんですけどぉ」
百夜物語は3日目に僕が発表した内容だ。一人が一つ蝋燭に火を灯し、怪奇魑魅魍魎に因んだ話しては火を消して、次の人も繰り返しまた繰り返し…古説では49人目、近代怪談では100人目の灯しが消えたと同時に、現世以外と空間がつながるとか、死者の霊が表れる等と言う話である。外国の悪魔崇拝をする教団などでも似た儀式がされており、全世界的に行なわれているらしい。
「お化け屋敷ってありますよね?もちろんそこには大量の妖怪が置いてありますよね。でもその数は99体までって条例で決まってるのご存じでしたか?もちろん百夜物語が起因とされるのですがこれって、お上が霊的存在を認めたって事になりますよね。でも実際は存在してはならない予備の子達が倉庫で眠っているんですけどね」
透き通る声が何故か脊髄を震わせた。
先輩は100人駄目とメモをとっていた。
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