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他人を犠牲にしてまで、助かりたくない。
そういう美意識が、少年の中には存在した。
(僕は・・・・!)
突然、弾かれたように立ち上がると、
(何が、呪いだ)
ビデオを、手に取った。
噂は噂に過ぎない。このビデオも、誰かのイタズラかもしれない。
(きっと、そうだ)
少年は机の引出しにビデオを放り込むと、すべてを忘れる事にした。
死にたくなければ、一週間以内に・・・・
他の誰かに、このビデオを見せる事・・・・。
一週間が、過ぎた。
変化はない。
(ほら、しょせんは噂だ)
思わず、笑顔がこぼれた。
いたって健康だ。少年の身体に異常などなかった。
(この科学の時代に、呪いなんて。・・・)
勝ち誇った気分の少年。しかし、それは少年の勘違いである。
呪いはまだ、生きているのだ。・・・
次の日の夜。
兄貴が死んだ。
【完】
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