呪怨 エロス

5/6
前へ
/6ページ
次へ
天井裏の異様さは、尋常じゃなかった。 少年は懐中電灯で辺りを照らしながら、天井裏の奥へと進んで行く。 そして立ち止まると、 (ここなら絶対に大丈夫だ) 少年はカバンを開けると、中から一冊の本を取り出した。 今日、学校で友人からもらったその本は、彼が生まれて初めて手にした『エロ本』だった。 少年がこの、お化け屋敷に来た理由は、これだった。 シャイな少年にとって、エロ本を家の両親に見られるのが恐ろしかった。 几帳面な彼の母親は、いつも家中を掃除してまわっている。エロ本を隠したって、いずれ見つかるのは目に見えていた。 だから、少年は絶対に誰にも見つからない隠し場所として、ここを選んだ。 このエロ本は、思春期の少年にとって大切な宝物だ。それは決して大袈裟な例えではなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加