可愛いこ

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  「もう、朝から最っ低! 見てよこの鳥肌!!」 皆さん、おはようございます。 元気いっぱい田沢都です(某ヒーローパンを意識なんてしてない)。 普段は超おしとやか且つ低血圧なあたしが、何故朝っぱらからこんなに元気なのかと言うと。 それは――― 「だって腹減ったし。お前全然起きねーし」 目の前でトーストにかじりついている、可愛らしい美少年のせいなのです。 あたしがパジャマの袖を捲って未だ治まらない鳥肌を見せ付けても、シレッとしている棗。 あぁぁあぁ憎たらしい!!! 「って言うか! いい加減トーストぐらい自分で焼けるようになってくんない!?」 あたしが作った今日の朝食は、バターを塗ったトーストに目玉焼き、カリカリに焼いたベーコン3枚。 正直、小学生でも作れるレベルだ。 これぐらい、あたしを起こさないで自分で作って欲しい。 「何言ってんだよ。食事係はお前だろ」 ……そうなのだ。 遡ること一週間前。 何を血迷ったのか、あたしはこいつの『食事係になれ』というお願い(命令)に頷いてしまった。 まさか、毎朝毎晩お弁当まで作らされるとは思っていなかったんだけども。  
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