可愛いこ

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  脱衣場で制服に着替えてリビングに戻ると、既に棗は朝食を食べ終えていた。 「ごちそーさま、美味かった」 「……そりゃ良かった」 差し出された皿を受け取り、流し台に持っていく。 憎たらしいことも言うけど、ご飯は絶対全部食べてくれるんだよね。 「美味い」って言いながら。 小さなことだけど嬉しくて、思わず頬が緩んだ。 「あ、そろそろ出ねぇとやばくね?」 棗の声に食器を洗う手を止め時計を見てみると、時刻は8時49分。 一限目は、9時開始。 「やばくね?」じゃねぇ!!!! いつもは周りにバレないようにあたしと棗は時間をずらして家を出るのだが、今日はもうそんな余裕はない。 持っていた食器を放り投げ、鞄と棗の首根っこを掴んで扉を蹴破りダッシュ。 後ろで「パリーンッ」とかいう音が聞こえた気がするけど、気にしない。  
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