その悪魔、突然に

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  放課後、あたしは一人孤独に我が家へと向かいながら、悶々と思考を巡らせていた。 何故一人なのかと言えば決して友達がいないとかそう言う訳では無く、あたしは帰宅部で友達よりも帰るのが早いから、という単純な理由。 藍も本来は帰宅部なのだが……なにせ、彼女はかなりの美人。 男子バスケ部、サッカー部、陸上部などのマネージャーになってくれとせがまれ、遂にはチアガール部にまでも勧誘されたらしい。 それらの部活に日替わりで顔を出している藍とあたしの帰宅時間が合うはずもなく、あたしはこうして毎日孤独に帰宅しているという訳だ。 まぁ、それはもう良い。すっかり慣れてしまった。 ただ、昼休みの藍の言葉が、頭の中をグルグルと渦巻いていた。 『そんなんじゃ、一生彼氏出来ないと思うよー?』 それは、少しは妥協しろ、って事? あたしは僅かに顔をしかめた。 良いじゃない、所詮理想なんだし。 ……いや、確かにそれ以外の人とは一緒になれませんが。 そこであたしは、ふと子供の頃から理想を打ち砕かれ続けてきた事を思い出す。 無意識に溜息が零れた。  
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