その悪魔、突然に

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  向こうも此方を見ていたのか、振り向くとお隣さん(仮)と目が合う。 瞬間、まるで時間が止まったみたいに、あたしは動けなくなった。 生まれつきであろう、栗色でサラサラのショートヘアー。 日焼けなど知らない、透けるような肌。 パッチリとした黒目がちな目や、長い睫、薄い唇。 細身な体系の割に、割と高い背。 オンボロアパートに似つかわしくない、かなりの美少女が、そこにいた。 あたしが何も言えずにただお隣さん(仮)の整った顔を見つめていると、彼女は怪訝そうに眉を潜めた。 そこではっと我に返る。 や、やばいやばいガン見してしまった! 取り敢えず挨拶しないと、と思い、あたしはぎこちない笑顔を作るとおずおずと彼女に話し掛けた。  
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