始まりを告げる声

2/10
前へ
/428ページ
次へ
昔は、歌を歌うのが大好きだった。 お母さんに叱られた時。 友達とケンカした時。 先生に誉められた時。 嬉しい時も悲しい時も、私は常に歌を口ずさんでいた。 そうすると不思議な事に元気が、力がみなぎっきて……。 昔から私はどちらかと言えば不器用で、自分の気持ちを言葉にするのがどうしても苦手で。 でも、不思議な事に歌を歌っている間は自分の事を素直に表現できているような気がして、これが本当の自分であると誰に言うでもなくそう思っていた。 思い返すとその頃から、歌で人々を元気にするような大人になりたいと思っていたのかもしれない。
/428ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加