始まりを告げる声

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もちろん音楽のコンクールやオーディションも沢山受けた。 だけど最後はいつもお決まりの一言。 「大切なものが足りない」 その言葉を聞く度に今までの毎日が、努力が、苦労が否定されているみたいで辛くて苦しくて。 やがて私の歌にかける時間は次第に減っていった。 いままで歌に費やしていた時間を私は遊ぶ事に使うようになっていく。 体験したこともないような遊び、キラキラした服を着る楽しみは私を夢中にさせてやがて……。 私は歌わなくなった。
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