始まりを告げる声

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飛び出したものの、私には生きて行くすべがなかった。 あんな事を言った手前もう家に帰る訳にはいかない。 しばらくの間は友達の家を転々とすればしのげるだろう。だがそんなものは一時的でしかない。 幸い私は幼少の頃を外国ですごしていたため、英語の知識を生かし翻訳の仕事を見つける事が出来た。 昔、誕生日に買って貰ったパソコンに送られてきた依頼のメールに添えられた資料を自宅で翻訳して送りかえす。 家に居ながらにして出来るこの仕事が思いのほか上手く行き、友人の両親に頼みこんで家も貸してもらえて、私は立派に一人暮らしが出来るようになった。
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