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「ねぇ、あなたは何の為に戦うの?」
色とりどりの花が咲き乱れ蝶が舞う花壇。
そして命の源である水が吹き上がり飛沫を飛ばす噴水の間に少女と少年がいた。
煌めく黄金の髪を後ろで一纏にし、肌は初雪の用に白く、その瞳は輝く宝石の様に赤く染まり、光りを燈す。
可憐という言葉がパズルのように、ぴったりと当て嵌まる少女。
その可憐さからは不釣り合いな、無骨な漆黒の鎧を身に纏う。
腰には剣。柄の中央に真紅に輝く宝石を埋め込み装飾された戦いに使われる実用剣というより、儀式用の剣と言った方が納得できるだろう。
そんな思わず見とれてしまう程の美しさと、気品持つ紅蓮の炎を思わす赤と輝く黄金色に装飾された剣を差している。
だが、その剣は少女の代名詞と言われている最強の剣の一つと名高い魔法剣。
そんな少女が、その小さな口から言葉を紡ぐ。
可憐な少女には不釣り合いな、力強い赤の瞳で真っ直ぐに少年を見据える。
その視線の先にいる、赤髪に眼鏡を掛けた少年は、一瞬の沈黙後こう答えた。
「秩序を守る為だ。軍に所属しているなら当たり前だろ?」
彼もまた彼女と同じ鎧を身に纏い、少女より大きい剣を腰に着けている。
その鎧には、鳥の白羽を模した装飾が右肩に施されている。これは軍に所属する者に配備される鎧である。
「つまらないわね」
少年の答えに対して一笑して、半ば呆れた様子で片眉を吊り上げる。
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