プロローグ

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少年はそんな少女の態度に不服だったのか、声を少しだけ荒げて問い返す。 「じゃあ、あんたはなぜ戦う?」 その言葉を待ってました。そう言わんばかりに、先程の不愉快そうな表情から一転。見る者全てが見惚れる程の綺麗な笑顔になる。 少女は彼に背中を見せ、楽しそうに噴水のブロックにひょいと跳び乗る。手を後ろで組んで少年に振り返った。 「君は強くなる。だから特別に教えてあげよう。君の進む道が少しでも光りを点すように――――」 それはとても純粋で笑ってしまう程単純な理由。 これが幾つもの戦場でその圧倒的な力で数々の敵を討ち滅ぼし、戦場に舞い降りし聖女とまで呼ばれた、少女が戦う理由。 そしてその後の大戦で至高の英雄と称されることになる、少年が憧れた理由。 それは彼の物語の始まり――――
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