初彼氏。

12/13
前へ
/115ページ
次へ
嬉しかった。 最高の先輩たちと最高の時間を過ごせて最高に幸せだった。 先輩達が卒業して、誰もいない3年生の教室。 ポツンと独りで立っている。 ひとつひとつの小さな物音が響く。 胸の鼓動が聴こえる。 もぅここには、先輩達は居ない。 次からは、私達がこの教室を使う。 変な感じ……。 『ひでみ!!』 先輩の声が聴こえる…。 重症だな。幻聴だよ……。 そう思って振り返ると、翔先輩が立っていた。 幻覚………? いゃ、現実。 『こんな所で何やってるのさ』 「先輩達との思い出に浸ってたの!」 『そっか。黄昏てるんだ。』 「先輩こそ、何でこんな所にいるの?」 『部室に忘れ物取りに来たついでに偶然寄っただけ。そしたらひでみがいたの』 「そぅなんだ」 そして、2人で一緒に下校した。 それが、最後の下校。 先輩は高校へ進学。 私は3年生に。 毎日会うのが当たり前だったから、その分寂しさも大きかった。 逢わない時間が増えれば増えるほど、2人の心も離れていった……。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加