第零升 朱キ月

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月明かりの下、二人の影があった。 一人は追う者、一人は逃げる者。 逃者は『ハァハァハァ』と息を切らしながら逃げているのに対して追者は息切れ、呼吸さえも静かだった。 逃者は何かに怯えるように逃げていく。 後ろを振り返ると誰も居ない。 胸をなで下ろし前を向くと目の前には人影があった。 逃者は驚きその場に座り込む。上を見上げるとそこには朱い二つの眸が見下ろしていた。 逃者はその赤い眸を見据えながら祈ることしか出来なかった。 そして月明かりの下、運命の螺旋が交わり始まる。
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