5454人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、ロイスは入る気配を見せない。
なんたって
先ほどの女の子が可愛くて見とれているからだ。
すると、黄色い髪の女の子が不意にこっちを向いた。
そして目が合うと
ニッコリと微笑んでくれた。
ロイスは軽く頭を下げる。
そしてまた女の子の後ろ姿に引き込まれていた。
不意に肩を叩かれる。
ギクッとして後ろを振り向くと、
白い髭を生やして、眼鏡をかけた
優しそうなご老人が立っていた。
ロイスは直感で校長先生だと悟った。
しかし、あの女の子がこの人に微笑んでいたとは気づいていない。
「どうかしましたかな?」と聞かれ、
思わずロイスは「えっ?」と聞き返した。
すると老人は
「入学式が始まってしまいますよ」と教えてくれた。
「あっ」
ロイスはどうやら入学式の事を忘れていたようだ。
そして
お礼も言わずに走って建物の中に消えていった。
老人は自分の髭を撫でながら、
「ロイス君か...不思議な子だ」
誰にも聞こえないくらい小さい声で呟いた。
誰もいなくった建物の前には[クォルツ魔法学校]と書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!