第十章 灼熱機構

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「まだやれるのかよ、どんな体力してやがるんだ……」 すかさず全員が武装を取り出し、先輩を包囲する。 「……ここまでのようね」 何かを察したように僅かに首を振ると、レイシャ先輩は此方をじっと見つめたまま後退りをする。そのまま階段を一歩、二歩と上がり、燃え盛る本堂に近付いていく。 こちらを見つめる眼。そこには先程までの激情は鳴りを潜め、先輩はただ何かを諦めたような、疲れ切った眼をしていた。 「お前の勝ちよ……カイ=ラウクス」 「まさか……ダメだ、先輩!」 まずい。そう思った瞬間にはもう手遅れだった。渇いた笑いを浮かべたかと思うと、身を翻して本堂の中へと飛び込んでいった。 何かを考えている暇はなかった。痛みも疲労も脳内から弾き飛ばし、無我夢中で駆け出す。
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