第十章 灼熱機構

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俺が本堂に飛び込むと同時に、俺の真後ろに崩れた屋根の一部が落下してきた。飛び散る木片が背中に当たるが、今はそんな事を気にしている場合じゃなかった。 堂内は文字通り一面火の海だった。凄まじい熱気が頬を撫でる。 「先輩!!」 火の海の先、本堂の一番奥にあるどこかの女神の神像。その前に跪く先輩の姿があった。 俺に気付いたらしく、こちらをゆっくりと振り返る。その右手には小さな短刀が握られていた。 「来ないで頂戴。もう、終わりにする時が来たのよ」 「先輩それだけは駄目です……やめてください……」 先輩の白い首筋に銀に光る短刀が当てられた。俺の懇願も意に介さず、少しずつ短刀が肌に食い込んでいく。
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