第十章 灼熱機構

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「先輩、上!」 「しまったーーーー!」 出口まで後わずかというところで、大量の瓦礫が天井から降り注いできた。 今までの記憶が次々に現れては消えていく。ああ、これが走馬灯ってやつなのか。 ごめん、皆…………! 『全く、世話のやける人ですね』 確かに、俺はその声を聞いた。あの懐かしい、青年のような声を。 壁を突き破って現れた虹色の閃光が瓦礫を粉砕する。粉状となった木材と石材の破片が雷雨の如く俺たちに降り注ぐ。 薄れ行く意識の最中、俺は確かに見た。 突き破られた壁の向こうに広がる森の中で、こちらを見つめる人影を。 その瞳もまた、七色に輝いていた。
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