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その度に人々は“魔導書”の力を借り受け、災厄を退けてきた。繰り返されるは数多の殺戮。数多の裏切り。数多の暴虐。
それらは徐々に神々を疲弊させ、精神を蝕み、神々同士の関係をも悪化させた。
奇しくも人間の上位存在たる神々が、その下位存在である人間によって苦しめられていたのだ。
それでも、今日まで人間たちは終焉を回避し続けていた。
だが、人類の終焉は近い。此度の災厄は神々の怒りそのもの。愚かしく弱き人間たちに太刀打ち出来る道理はなし。
機械神は人の業を憎んだ。
悪魔長は世界そのものを憎んだ。
聖母はこの世の悪を憎んだ。
創世神は自分自身を憎んだ。
そして、魔術卿だけが人間を愛し続けていたのだ。
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