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「本当に愚かしいわね……人間も”お前たち”も」
少女が振り向くと、いつの間にか墓石の側に二人の女性が立っていた。
「ふふ、耳が痛い話じゃのう。しかして、皆が理性的かつ道徳的では何もかもがつまらんじゃろ、のう、イヴ」
最初に口を開いたのは白髪の女性。口調から高齢と思われるが、その容貌も挙措も若々しい。諜報員のごとく暗色の礼服を着こなし、楽しげに笑っている。
手の甲に刻まれた蒼き片翼、与えられた数字は”Ⅲ”。
「……貴女の戯言に付き合う気はない、ミネルヴァ」
淡々とした口調で老婆を諫めるのは蒼髪の女性。女性らしいしなかや体格をしているが、纏う覇気が尋常ではなかった。
仮面をしているためその容貌は窺えない。
手の甲に刻まれた蒼の片翼、その数字は”Ⅰ”。
「相変わらず仲が悪いのね。”創世神”、そしてーー”原初の賢者”」
「まあ、儂は打算と暇つぶしで”十二規律”に参加しておるからな。とはいえ、ここまで圧倒的な戦いだと少々退屈じゃったがな」
「何をしたのか知らないけど、お前はこの結末を予測していたようね」
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