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「別に大した事はしておらんよ。儂はただ、可能性を記しただけじゃ」
ミネルヴァは彼女の演算結果を碑文にして残した。それこそが”終末の碑文”。彼女とその一族のためだけに書かれた”予言書”。
「道理で貴女達の計画だけが有利に運んだのね。あのクズーー”サタン”が慌てて私を解放するのも頷けるわね」
「外れた”予言”もある。思った以上に犠牲者が出てしまったようじゃし」
「貴女がもっと早く真実を語れば、こんな結末にはならなかったかもしれないのよ?」
「別に我等の勝利は揺るがぬからな。それに儂は”十二規律”とは一時的に協力しているに過ぎん。そこまでする義理はないのじゃ」
(この老獪……思った以上に厄介ね……)
不敵に笑うミネルヴァに内心毒づく。敵か味方か、それすらも分からない流浪の魔術師。
「老獪とは随分な言い方じゃのう」
「人の心を読むのはやめてくださる?」
ミネルヴァの有する能力。これはその一端に過ぎない。
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