断章 そして、荒野で”魔女”は懺悔する

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「御託はいい。”終末”までもう半刻を切った……”不散の魔女”、貴女は新世界には不要な者……ここで眠るがいい」 イヴと呼ばれた蒼髪の女性は話を遮るようにして前に出ると、そう宣言した。 「……お前たちに”マキナ”は渡さないわ」 「まあ、儂もいい加減、この旧世界には飽き飽きしておったからな。そろそろ遊戯は仕舞いするとしよう。ーーーーそこは通してもらうぞ」 ミネルヴァが指を鳴らすと、彼女の脇に矛と盾が現れる。宙に浮くそれらは彼女に付き従うように左右に分かれ、静止していた。 パラス アテネ 「”槍をかざす者”……それが噂に聞く、”雷光の槍”と”無敗の盾”アイギス……」 厳めしい装飾を施された矛は黄金に輝き、盾には頭から髪のように蛇を生やした女の生首が埋め込まれていた。 「よくご存知で。しかし、この儂が武具を取るなど実に数百年振りじゃ……いや、お前が本気を出すのは千年振りか、イヴよ」 蒼い魔力が弾け、イヴの右手に髪や魔力と同じ、蒼色をした長剣が握られた。銘はーーーー”秩序と正義の剣”(エウノミア・ディケ)。
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