終章 風と共に

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ーーーー主は言った。 ーーーーお前と友になりたい。 ーーーー許し合える事こそ人間が人間である証明だと。 ーーーー獣は争い合うしかないのだと。争い合う限りは獣でしかないのだと、主は言った。 「……」 扉を叩かれ、我に返る。 手元の本ーー“三騎士伝”を机に置くと、髪や入院服といった身嗜みを軽く整える。 「はい、どうぞーー」 「邪魔するわよ」 扉を蹴破るような勢いで金髪の女性が入ってきた。その顔を見た瞬間、思わず身構えそうになるが、 「安心なさい。 今日は話し合いに来ただけ、事を構えるつもりはないわ」 俺を片手で制止すると、脇に抱えていた学生鞄を近くにあった棚に置いた。 「話自体はすぐに終わらせるわ。 少し時間をもらえるかしら」 「ええ……どうぞ、掛けてください」 「ありがとう」 寝台の付近にあった椅子を示すと、レイシャ先輩はスカートの裾を払って、ゆっくりと腰を下ろした。
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