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「それで、お話しというのは……?」
固唾を飲んで返答を待つ。どんな罵声も非難も受け入れる覚悟をしていた。しかし、その第一声は予想だにしないものだった。
「……色々考えたのだけれど、一先ず、お前を狙うのはやめるわ」
「レイシャ先輩……!」
「勘違いしないで頂戴、あくまで“先送り”にするだけよ。これから先、お前が下すであろう数々の選択ーーそれらを見届けさせてもらうわ」
嬉しさと安堵のあまり身を乗り出す俺を片手で制止すると、静かな口調で語りかけてくる。
「つまり、俺の行動次第と?」
「そうね、お前があの方を押し退けてでも生きるべき価値のある人間なのか、しっかりと見定めさせてもらうわ。お前にその価値がないと判断すれば迷わずお前を殺すわ」
「ッ……!」
容赦ない宣言に背筋が凍る。だが、無慈悲というわけではないだろう。もちろん、彼女なりに譲歩してくれた結果だというのは分かっている。
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