終章 風と共に

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「だから先輩の質問に答えるとするなら、失ってしまったから、としかお答え出来ません」 「なるほど、アンタも突然力を失って動揺していたってのは分かったわ。じゃあ、あの黒服の男は何者なの?」 建物の崩落に巻き込まれそうになった俺たち二人を助けてくれた謎の男性。 「遠くてはっきりとは見えなかったけど、尋常な魔力量じゃなかったわ。それに”虹色”の魔力と瞳なんて……伝承の”魔導書”使いそのものじゃない。アンタ、本当に何も知らないの?」 「黒服の人は本当に分かりません。ただ、あの時聴いた青年のような声……あれは……」 「”不死鳥”、だったと思います」 魔術卿の力は”魔神”と呼ばれる種族を従える力だ。 そして、現在の魔神たちの長にして、魔術卿の統一意思の役割を果たすのが”不死鳥”だ。 かつての相棒。俺の契約していた魔神だった。 「……まあ、これ以上追求するのはやめておくわ。けど、何か分かったら私にもちゃんと報告する事。いいわね?」 「……はい」
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