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氷結の終焉
「ひく……えっ……うっ……」
人里離れた雪山。
「……泣くな」
小さな両手で顔を覆い嗚咽を漏らしながら薄暗い雪山を歩く少女の頭を、優しく撫でてやる。
少女はそのままの姿勢でこくりと小さく頷く。
「……ごめんな」
「ううん、本当なら私はお礼を言わなきゃいけないのに……泣き虫さんはまだ取れてないみたい」
美優はこちらを見上げ、さっきよりかは少し明るく笑ってみせた。
どうやら頭を撫でられ、ちょっとは嬉しかったようだ。
血塗れの、穢れた手ではあったが。
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