最後の始り

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そのせいで俺は…夏休みだってのに、こうして脳天気に浮かれてる蝉を眺めながらバスを待ってるって訳だ。 夏休みに入って三日目…二日間は…数学の教師にみっちり補習を受けさせられた…けどやっぱちんぷんかんぷんだった。 けど三日目の今日の追試で合格点取らないと留年が確定なんだな…バスを待ってる今の気分は、死刑宣告を受け取りに行くような感じだった。 暑いし…蝉はうるさいし…バスは、なかなか来ないし…とにかくイライラしてたんだ。 『んん?…』 バスが来る方角から走る車を縫うように一台の単車が爆音を響かせ猛スピードで向って来るのが見えた。 (ったく!夏になると増えるんだよなぁあぁ言う馬鹿が…) 《オン!ォン!ォン!キキィッ》 爆音を撒き散らかしながら疾走して来た単車は、バスの停車位置…俺の目の前で止まった。 (おいおい…そんな所に止めるなよ、そこはバスが停る場所だろ!) 単車に乗った男を俺は煙草を咥えたまま上目遣いで軽く睨んだ。 フルフェイスのメットにライダージャケットにGパン…単車も族仕様みたいな派手な単車じゃなくカウルの付いてる速そうな渋い感じの単車だった。
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