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(あっくんいつ起きるかな)
母の後を追って部屋に来た愛犬も、自分の寝床を占領している彼が気になる様子。
コンポの電源を入れている間に彼の手の臭いをかぐ。
「こら! チェリー」
普段はお利口なチェリー。もぞもぞと布団に入り顔だけを覗かせる。
頭を撫でてやると“この人誰?”と言いたそうな目。
「このお兄ちゃんはね、あっくんって言うの。お姉ちゃんの大好きな人なんだよ? お姉ちゃんが最近泣かなくなったのはこの人のお陰なんだ」
家族の前で泣かない私。妹のように可愛いく姉のように優しい“彼女”の前でよく泣いた。
黒く美しい毛を涙で濡らすと、まるで一緒に泣いているような潤んだ瞳で私の頬を舐めてくれる。
何を思ったのか!?
あっくんの上に何度もダイブするチェリー。
すかさず止めたけど時既に遅く……彼が目を覚ました。
「ん? 何で犬が居るんだ?」
「あっくんおはよ。よく寝てたね~。この子がチェリー。あっくんちのジミーよりかなりお婆ちゃんだけど」
普段の彼とギャップを感じる寝起き全開の顔に寝癖頭。
「ぷっ」
「ん? 何だよ」
笑いながら鏡を渡し“朝ご飯を取りに行く”と伝えリビングへ。
朝食を持って部屋に戻ると、屈託ない笑顔でチェリーと遊ぶ寝癖頭のあっくん。
「こいつ可愛いなあ!」
(こんなイイ顔出来るんだ……。お前の方が可愛すぎだし!)
微笑ましい光景に嬉しく思いながらも、犬にまでヤキモチを妬いてしまう。
緩やかに時間が流れ、予定していた10時に家を出た。
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