一章…無気力

6/6
前へ
/417ページ
次へ
 夏の終わりと共に別れを告げられた。  そのショックで大量に薬を飲んだ?  肌を焦がした?  過食嘔吐を繰り返した?  実際そこまでスキだった?  自問自答……  最近の頭の中はこのネタで持ちきり。  薬だって風邪薬。1瓶飲んでもなんともなかったよ?  焼きだっていつもでしょ?  過食? 嘔吐? 食い過ぎて吐いただけの事。  確かにスキ。その気持ちはあった……あったはず。    1年半片思いだった。  友達の元彼だったから友達のままでいるつもりだった。  でも、スキと言ってくれた彼の言葉に、初めて自分の気持ちに付き合ってやろうと思えた。    男性不信ぎみだった私がスキになれた人。  彼はどこまでも優しく、いつだって私を癒やしてくれた。  だけど私、何があっても側にいてあげれる子じゃなかったね?  独り……ソレを埋めるだけの存在。  私は彼の気持ちに全く気付かず何も伝えられないまま……  彼に気付かれた。  薄っぺらい私のスキ。  本音のない意味ない会話。 「俺達本当に付き合ってんの?」  何度か聞かれた。  短い恋人ごっこ……。  私にとっては“いつもの事”  悲しく響いていた歌はいつの間にかただのBGMになり……涙すら出ない。 (これ以上泣くと明日仕事行けなくなるな)  元から小さい目が余計小さくなってしまう。 「瞼の腫れた女に酒注がれても不味くなるし」  一言呟くと携帯を手にした。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

289人が本棚に入れています
本棚に追加