二章…イケメンパラダイス

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二章…イケメンパラダイス

 携帯の中。  ネットの世界。  嘘だらけだろうが誰1人気にも止めない気楽な所。  手にはいつも携帯か煙草。毎月パケ代は恐ろしい数字を叩き出す。    携帯と添い寝して携帯に起こされる。携帯なきゃ生きてけない。  100%携帯依存症。  頭は考えたくない事ばかりグルグル廻る…… (面白い事ない?)  心のモヤモヤが晴れるような何か。 (そういえば……)  頭には太った男と細身の男の顔が浮かんでいた。  接客中長々と話されたノロケ話を思い出し若干イラついてしまう。 「堀部さんね。今彼女いるんだよ」  細身の男は上司の堀部に気を使っているんだろう。  さっきから歌がうまいだの心が広いだの嘘臭い。  堀部と呼ばれる男は明らかなお世辞にも関わらず、満面の笑みを浮かべて“彼女”の話をする。 (聞いてない事ダラダラ話して失恋したての私にノロケまくってたっけ)  太った体に汗っかき。まさに典型的な中年デブ。背中や脇、所々に汗染み。  携帯握りしめて気持ち悪すぎる笑顔でノロケ話。  興奮しているのか今まで以上の汗を流す。  耐えきれず目の前の酒を飲み干す私。 (キモッ……)  とりあえず話を聞くと見ず知らずの女と熱愛中とか。顔すら知らない相手の事を理想通りなんて言っちゃってる。  最近流行りの出会い系サイトで知り合ったらしい。 (笑える。  妄想の世界でしょ。  所詮は疑似恋愛。  下らないな)  堀部を横目で見ると軽く笑いそうになる。 (あ~あ。無駄にメタボ隠してんだろうな。そこら辺の芸能人に似てるだの言っちゃってんのかね。自己評価上げたって会ったら確実に逃げられんだろ)
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